2014年3月29日土曜日

LSE100〜大局観を養う授業〜

世界の有名大学にはどれも強み、売りというものがあります。LSEの場合は強みは社会科学ですが、アメリカの大学のリベラルアーツ(教養教育)に対抗するため、近年LSE100という社会科学の視点を使って大局的な問題(気候変動、金融危機、貧困問題、ナショナリズムなど)を議論するコースが学部生の必修になりました。

このコースは全学部共通なため、クラス(ゼミ)では全く違うことを勉強している生徒と議論することになります。もちろん普段やっていることがお互い違うので、大変な部分も有りますが、全く別な視点や解釈が得られるという点では非常に面白いです。

さて、そんなLSE100ですが成績は基本的にエッセイで決まります。一週間ほど前に、二つ目のエッセイの提出があり、提出日まで必死に取り組んでいました。

今回の設問は「複雑な社会的事象の分析をするにあたって、多角的な学術視野からのアプローチの強みを答えなさい。」というものだったのですが、あまりにもスケールが多すぎて、考えをまとめるのに非常に時間がかかりました。それぞれの学術的視野がどう同じ問題を定義するのか。分析方法の量的、質的な違いは何か。学問ごとのバイアスは、他の学問との組み合わせで克服できるか。考えだしたらきりがないのですが、気候変動に関する国際交渉と冷戦の終焉という二つのケーススタディをもとに、なんとか自分なりの答えをまとめることが出来ました。

ただ、こうした簡単に答えが出ない問題について考える機会が与えられることは有り難いと思います。実際にLSEを卒業した学生たちは各国、各界のリーダーになる訳ですから、正解のない中で決断を下さなくてはいけない場面に将来必ず遭遇します。そんなとき、大局的な目を持って思考できる能力が有るかないかは大きな違いとなって出てくるだろうし、それが出来る人材を輩出しているからこそ、LSEの名前は評価されているのだと思います。

答えが簡単に出る勉強は達成感が有りますが、実社会で役立つ力にはなかなか結びつきません。暗記やパターンの理解を超えた思考力が問われる勉強では達成感はなかなか得られず、すっきりしないことも多いです。ただ、そこを乗り越えることで、多少のことでは動じない、大局観を持った真のグローバル人材が誕生するのかもしれません。

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