この気づきに関連しているのですが、実は今の時代、日本人にとって海外に出て学ぶ、働くということはそんなに難しくないと言えると思います。しかしながら、そのグローバルなコミュニティのなかでリーダーに
なるのはやはり凄いことだと、クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事の話を聞いて思いました。
IMFという名前はほとんどの人が聞いたことがあると思いますが、具体的に何をしているかというと、各国の通貨の安定と国際為替の調整そして財政危機に陥った国の支援などをしています。(最近で言えばウクライナなど)
その性格上からIMFは絶大な権限と影響力があり、特に発展途上国はIMFの介入を非常に恐れています。そんな国際機関のトップになるには並大抵の能力では務まりませんし、各国の首脳陣から信頼されるだけの統率力が不可欠です。
しかしながらクリスティーヌ・ラガルドは本来のフランスのエリートとは全く違う道を通ってそこまで登り詰めた人です。彼女はシンクロのナショナルチームに所属したり、フランスエリートの登竜門といわれるグランゼコールの一つENA(国立行政学院)の試験に2度失敗して、米国系弁護士事務所のベーカー&マッケンジーで働いたりとかなり変わって経歴をもっています。
そんな彼女は英語が比較的に苦手というフランス人の中でも滑らかな英語を操り、法律から財務まで幅広い知識を持っています。そしてなにより、国際機関で生き残るための政治力をもった世界最強のキャリアパーソンの一人かもしれません。
今回僕が話を聞きにいったパブリックレクチャーは持続可能な経済発展と社会的公正の実現についてだったのですが、ラガルド氏の方風な経験と知見をもとに面白い話が聞けました。
ラガルド氏によると基本的に貧困削減や、途上国における女性進出を促進するためには3つのエンパワーメント(力を与えること)が必要だそうです。
まず第一にはそうした不公平な立場にいる個人のエンパワーメント。これは公平な雇用機会の創出や法整備、不特定住所に住む人々の信用アクセスなどを意味します。
そして第二にこれらの改革を進めるには公的機関、政府のエンパワーメントが必要です。これは途上国の政府の情報公開や、オンブズマン制度の導入によって達成されます。
第三に包括的にグローバル社会でこれらの問題を解決するために、多国間主義のエンパワーメントが求められます。これはまさにラガルド氏がトップをつとめるIMFや世界銀行、国連などの主要な国際機関をよりフェアな構造に改革し、多国間協力への参加を促すということです。
こうした概念的な話は今までも何回も聞いたことがあったのですが、言葉の重みがありました。男社会の政界や、外国人が不利な外資系企業で、渡り合ってトップをもぎ取ると言うのはやはり伊達ではないと思います。
ラガルド氏のパブリックレクチャーは真の意味で「グローバルリーダー」になることの難しさを改めて突きつけると同時に,それに対する憧れを強めました。
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